研究概要

 大学入試の唯一かつ重大な目標は,アドミション・ポリシーに表現された「求める学生像」に沿った学生を定員通りに確保することであり,入試問題の作成は,この目標を達成するために個別大学に課された責務である。さらに,大学入試は日本社会におけるハイステイクスなテストの典型であり,入学者選抜のための試験問題は,その質が問われる。一方で,作題関連業務の過重負担,短期間での担当者の入れ替わり,入試ミスといった様々な阻害要因があり,良質な問題の継続的作成は,多くの大学にとって深刻な課題となっている。
 本研究では,個別大学の入試問題作題に係る負担を軽減しつつ,ハイステイクスな試験にふさわしい良質な問題を効率的かつ継続的に作成することを目的として,過去問データベースの作成と,AI(人工知能)技術を活用した作題支援システムの構築を試みる。データベースおよび作題支援システムの活用により,試験実施後の分析・評価からフィードバック,そして次年度以降の問題作成に至るまで,作題関連業務のPDCAサイクルが円滑に機能することが期待される。

研究代表者

東北大学 高度教養教育・学生支援機構 准教授  久保 沙織